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履物について

履物について

履物が、いつの時代にどのような状況で生まれてきたのか特定することは非常に難しい。
歴史的発見にて今日分かっているのは、紀元前2000年頃に古代エジプトのファラオ(王様)等の上流階級の人々が履いていたサンダルが人類最古の履物ではないかと言われている。
旧約聖書で海を割った話が有名なモーセ(紀元前16世紀または紀元前13世紀ころに活躍されたと言われている)を描いている絵画ではさえサンダルを履いて描かれている。
また、日本に近い地域で言えば中国西部・タクラマカン砂漠から発見されたミイラが革の靴を履いて発見をされた。

古代エジプト時代のサンダル画

古代エジプトファラオのツタンカーメンの像。
金色に輝く像の足元には履物を履いているのが確認できる。

Wikipedia 作者Шухрат Саъдиев

中国地図

タクラマカン砂漠にはかつて大都市があり、大勢の人々が住んでいたと言われている。
また、近年世界的に問題となっているウイグル自治区内にあり、世界で2番目に大きい砂漠といわれている。

Wikipedia 作者不明 calligrapher/miniaturist

中国地図

タクラマカン砂漠にはかつて大都市があり、大勢の人々が住んでいたと言われている。
また、近年世界的に問題となっているウイグル自治区内にあり、世界で2番目に大きい砂漠といわれている。

Wikipedia 作者TheDrive

このことから履物の歴史とは人類の歴史の一部であるとさえ言えるのではないかと思う。
履物は社会環境や流行などに対応して、素材等が変化していく。
例えば、人類最古の履物であるサンダルは、暑さの厳しい国であるエジプトで足を、焼けた砂から守り、風通しがよく涼しく快適に過ごせるよう作られた。
また、今日では冬場になると女性が足の防寒の為並びにファッションの為に履かれているブーツはもともとは乗馬の際に足を保護する為に作れらたものである。
日本で言えば、現代でも健康法などの理由で履かれている下駄は、邪馬台国(2世紀~3世紀)時代に、水田等の耕作に使われていたとされる「田下駄」というものが発見されており、それが下駄の始まりとされている。
ただこの時代は、三國志の作者で有名な陳寿(233年~297年)が書いたとされる魏志倭人伝には高貴な者以外は素足で生活をしていたと書かれており、時代劇等で見かける草履を履くようになるのは平安時代だと言わている。
この様に履物とは気候や暮らしを豊かにする人間の知恵によって形に表したものであると考えられる。

乗馬用ブーツ

ブーツはもともと乗馬用として、足を保護するために作られたもので、現代の様にファッションは皆無だった。また、あぶみに力が入りやすくなるよう、先がとがったデザインが多く、あぶみからずり落ちないためにヒールもつけるようになったと言われている。

Wikipedia 作者Ealdgyth

田下駄

田下駄は,湿地や深田で作業時に,足を保護し作業効率を高める為に使われていた。

Wikipedia 作者Σ64

草履

草履と言えば一般的には藁草履等を思い描くが、鼻緒を有している履物の総称である。近年では和装の正装時に履くものを指す。

Wikipedia 作者akaitori

雪駄

草履とは鼻緒があるの日本の伝統的な履物で、靴が普及するまでは多くの人々に履かれていた。近年では和装の正装時に履く。
また、もともとは草を履くと書くように藁草履等が主であったが、現代では靴底にウレタンを使った雪駄等の総称となっている。

Wikipedia 作者whity

さて、当社が専門的に取り扱っているスリッパだが以外と歴史は浅く、初めてこの世に生を受けたのは明治初頭だと言われている。
幕末の動乱を経て開国をした日本に、多くの西洋人が訪れたのだが文化の違いが数多くあり交流の際非常に困った事が数多くあったと言わている。
その内の一つは玄関で靴を脱ぐと言う事で、(これは現代の日本人においても一般的な常識だが、海外だと新旧時代共に室内でも靴を履いて過ごすのが一般である。)その習慣の差を解消する為に生み出されたのがスリッパである。
当時東京の仕立て職人だった徳野利三郎氏が1907年(1876年という説もある)に発案した上履きが、現在のスリッパの原型であり、現在のスリッパと違い靴の上から履くものだった。

Wikipedia 参照

バブーシュ

画像の履物はモロッコの伝統的な履物。
徳野利三郎氏が作ったスリッパの原型は靴を履いたまま履く為、このような靴の様な作りで踵のないものであった。

Wikipedia 作者Saltassine

シェニールスリッパ

現代のスリッパの代表的な形。

スリッパが生まれて100年余りの間に、和室、フローリング等の履く場所に合わせて様々な種類いが生まれ、季節を感じる為に四季織に生地をを変えて作る為現在では相当数の種類が存在している。
スリッパの種類。また生地において季節を感じると言った解説は次回のブログにて紹介したいと思う。